外交と軍事 2012 10 8
今、日本では、対中国を考えて、
日米同盟の強化が必要であるとか、
いや、それでは対米従属である、
あるいは、TPPは必要であるとか、
いや、TPPはアメリカを利するだけであるとか、
議論が盛り上がっています。
しかしながら、私は、こう言いたい。
日本の安全保障をアメリカに依存しておいて、
そういう議論は、不毛です。
外交と軍事力は、表裏一体の関係にあります。
外交力の裏付けとして軍事力があります。
それは、中国やアメリカを見れば、よくわかるでしょう。
もし、アメリカに軍事力がなかったら、
誰も、アメリカの言うことは聞かないでしょう。
とっくの昔に、ドルは「紙くず」となっていたでしょう。
何度も書いていますが、
自主独立路線のフランスは、
国防費がGDPに占める割合は、2.6%もあります。
一方、日本の国防費は1%未満です。
(世界平均は、2.0%となっています)
数字の上では、いかに日本が安全保障を軽視しているかがわかります。
同時に、安全保障のアメリカ依存が明白です。
これで、日本は、
国連の安全保障理事会の常任理事国になりたいと言っていたのですから、
これは、世界のブラックジョークでしょう。
安全保障を軽視する日本が、
安全保障理事会の常任理事国になるというのは、
論理的に、あり得ないでしょう。
もう一つ、言っておきたいことがあります。
よく日本の国防政策は、専守防衛であると聞きます。
しかし、軍事的に考えれば、専守防衛は重装備でなければ成り立たないのです。
たとえば、永世中立国であるスイスの国防政策を考えてみましょう。
スイスは、国土そのものが要塞化しています。
山をくりぬいて、軍事基地を建設したり、
国境近くの橋やトンネルには、爆薬を差し込む穴が開いています。
これは、有事の際に、橋やトンネルを爆破して、国境を封鎖するためです。
こうしたインフラ面の防衛だけでなく、
スイスは、徴兵制を採用しています。
各家庭には、自動小銃が貸与されています。
これは、国境の封鎖に失敗した場合は、
国民全員が、銃を持って戦うということです。
日本は、スイスのように有事の備えをしていますか。
いや、スイスと比べると、全く、備えができていません。
ここにも、専守防衛と言いながら、
実は、安全保障をアメリカに依存する体質が浮かび上がってきます。
平和ボケをしている国民は、
日本の国防をどうすべきか考えていませんが、
これでは、日本の将来は危ないと言わざるを得ないのです。
(参考)
数字は、「米軍が見た自衛隊の実力」(北村 淳)から引用しています。
国防の基本 2012 10 6
2012年10月5日の読売新聞には、このような記事がありました。
「アメリカ空母2隻が西太平洋に、尖閣緊迫で中国をけん制」
【ワシントン】アメリカ海軍第7艦隊によると、
同艦隊の二つの空母打撃群(空母部隊)が9月中旬以降、
西太平洋地域に移動し、警備訓練活動を行っている。
この海域で、二つのアメリカ空母打撃群が同時に展開するのは異例で、
沖縄・尖閣諸島を巡る日中間の緊張や中国初の空母の就役を受け、
中国軍をけん制する狙いとみられる。
西太平洋に展開しているのは、
横須賀基地を母港とする空母「ジョージ・ワシントン」と、
アメリカ西海岸を拠点とする空母「ジョン・C・ステニス」を中心とする打撃群。
アメリカ民間情報会社「ストラトフォー」などによると、
「ワシントン」は、グアム沖の軍事演習後、北西に向きを変え、
今月3日には、台湾の東方沖に移動した。
一方の「ステニス」は、9月26日に尖閣諸島沖に展開後、
南シナ海を通過し、現在はマレーシア近海で活動中とみられる。
(以上、引用)
これを読んで、多くの日本人は、
「よかった。アメリカが日本を守ってくれた」と思ったでしょう。
しかしながら、このような発想は、女性の発想です。
腕力が弱い女性は、自然と、そういう発想になりがちです。
つまり、「誰かに守ってほしい」という発想です。
しかし、男性まで、そういう発想になると、不自然です。
日本は、国全体が女性化しているかもしれません。
自分の国は、自分で守る。
これが基本です。
自分の国を自分で守らないで、アメリカが守るというのは不自然です。
実際に、国際紛争が起きた時、このような形式では、
アメリカの連邦議会が承認をしないでしょう。
連邦議会の承認がなければ、アメリカ軍は、戦えません(戦争権限法)。
例外として、連邦議会の承認がなくても、
すぐに戦える軍隊としては、大統領命令による海兵隊があるでしょう(事後承認が必要)。
日本の一部の地域では、
その海兵隊に対して、反対運動が起きている地域があります。
自分で自分の国を守る気力もなく、
アメリカ海兵隊に対しても「出て行け」と反対運動が起きる。
これでは、「悲劇のヒロイン」になりたいという少女漫画の世界です。
米軍が嫌ならば、「自分の国は自分で守れ」と言いたい。
国防費がGDPに占める割合で考えると、
韓国の2.7%やフランスの2.6%は無理だとしても、
日本の国防費を世界平均の2.0%にすべきです。
現在、日本の国防費は1%未満です。
(出典 「米軍が見た自衛隊の実力」 北村 淳)
(注)
もちろん、アメリカ海兵隊も、陸海空軍と同じく戦争権限法による拘束を受け、
議会の承認を受けていない、大統領命令のみでの出撃では、
事後48時間以内に下院議長と上院臨時議長へ書面で報告するとともに、
議会による宣戦布告の承認がなされない場合、
議会への報告後60日以内の戦闘のみ認められ、
さらに30日以内の撤兵が義務付けられている(ウィキペディアから引用)。